ヘタレな俺はウブなアラサー美女を落としたい




(……御礼も、しなきゃいけないし……)


 あ、ヤバい。ちょうどいい口実を見つけてしまったかもしれない。御礼ね。そうだな、御礼は大事だ。御礼するなら早いに越したことはない!

 この時点で、このあとの行動は八割がた決定したも同然だった。





 ――そうして俺はその日の夜、もう一度あの店を訪ねることにした。朝に店をあとにするときに頭を下げながら、俺は店の表札に書かれている店名をきっちり確認していたのだ。


BAR(バー)Silk(シルク) Forest(フォレスト)


 つまりあの人は、カフェ店員でも夜の蝶でもなく〝バーの従業員〟だということ。

 普段行く居酒屋チェーンやクラブとは価格帯が違う。バーに対して漠然とそういうイメージを持っていた。なんとなく敷居が高く、大学生がいつものノリで行くのは場違いな場所。

 実際ネットで調べてみると、店によるとのことだが基本の価格設定が高めらしい。酒代以外にもチャージ料金が発生するのが一般的だそう。それはいわゆる〝席料〟なのだという。〝お通し〟とはまた違う。客層をコントロールして上質な空間を提供するための料金だとも言われている。