「んんッ……!」
今度はあまりの美味さに、鶏肉を口に入れたまま〝バッ!〟と彼女を見た。彼女は美しい笑顔のまま俺を見ていて、こう解説してくれた。
「その鶏肉は燻製したから脂も結構落ちてるでしょ。量はあまり入れてないけど、少しでもジューシーに感じられるかなって。タンパク質もとれるし」
確かにジューシーだ。そして、不思議な味だ。カレーなんて濃いものに混ぜたらなんでもカレーの味になってしまいそうなものなのに、鼻からふわっと燻製の香りが抜けていく。あまり油を感じないカレーの中では鶏肉に僅かに残った脂がすごく甘く感じられて、かつ、しつこくない。
燻製と聞いて、さっき彼女から感じたスモーキーな香りの正体もわかった。
「美味いです、これも。……そっか。さっき感じたのは燻製の匂いだったのか」
「あ、もしかして私に匂いが付いてた?」
頷く。
彼女は「そっかぁ」とゆったり相槌を打ちながら、自分の服の袖を鼻先に近づけてクンクンと嗅いだ。
