ご馳走になる身で我が侭は言えないので、俺はそう感じたことを口に出さず、もちろん顔にも出さないように気をつけながら「美味そう」とだけつぶやいた。
「カレーだけど、極力油は取り除いてるの。油は使わずにスパイスを煎じてるから、きみがイメージしてる以上にシャバシャバでさっぱり食べられるよ」
「あ……それなら……」
胃に重そうだと感じていたのがバレてしまったかのような説明にドキッとしつつ、俺は再びカウンターチェアに腰掛ける。お姉さんが鍋の中のカレーをよそった皿を俺の前に出してくれる。スプーンを添えて。
また強く感じるスパイスの香り。俺がよく食べるカレーとは違って、茶色というよりはオレンジ。どろっとしたとろみはなく、どちらかといえばスープカレーのように透き通って見える。油を除いているというだけあって、カロリーの罪悪感をあまり感じないカレーだった。
「いただきます」
「どうぞ。召し上がれ」
早速スプーンで白ご飯の山を切り崩した。下のほうは既にサラサラのカレーをよく吸収していた。軽く混ぜ合わせて口の中へと運ぶ。
「……」
俺は口の中で咀嚼して、飲み込んで、しばらく黙った。
