「……なんで」
息を飲んで、瞬きをした瞬間、僕の目の前から電車が消えていた。
伸ばした僕の手は、行き場をなくして、ただ冷たい風に包まれる。
それでも確かに、僕の胸元には彼女のネックレスが光っている。
もう、居ないはずの存在にしがみついた。
もう、居ないはずの声を聴いた。
それでも確かに、愛おしい存在だった。
「どうして……」
さっきまで隣にいた彼女の空間だけが、まるで綺麗に切り取られてしまったようだ。
僕は、また思い出せなくなるのか。
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