大介の工房は仲間内から、

「生麦ベース」

 と呼ばれていた。

 ろくろと小さなガス窯と、あとは釉薬を入れた樽やら、素焼きのカップやら皿やら何やら並んでいて、無造作な空間に、中には可愛らしいピンクの小鉢やら、ブルーの四角い皿なんかも見えた。

 とりわけ目をひいたのは真っ赤な六角形のカップとソーサーで、

「これか?」

 大介が手に取ると、六角形が少しねじれているようにも見える。

「六角形って普通に作るだけでも歪みやすいから、めっちゃ手間かかるねんけど、綺麗に出来たら最高やねんて」

 目を輝かせて大介は語り聞かせた。