でもさ、と百合香は、

「アポ取らなくて大丈夫?」

「アポぐらいなくても私だから大丈夫でしょ」

 なんともあざといとしか言いようのない物言いをして、だりあは百合香の軽自動車から降りてから、

「あのー」

 ドアを開けた。

 誰何したが、反応がない。

 すると後ろ側から、

「お前誰やねん」

 大介の声がした。

「あっ…」

 振り返っただりあは、大介が普段はメガネをかけていることに気がついた。