だりあと大介は、婚約の報告を兼ねた両家の挨拶回りなどを済ませたあと、百合香の墓がある苫小牧を目指した。

「いちばん知らせなきゃいけないのは百合香だからさ」

 だりあはそうした、気配りの出来る性格に変わっていたらしい。

 新千歳の飛行場からバスとタクシーを乗り継いで、樽前山の見える小高い丘にあった墓所は、思ったより広かった。

 教えてもらった場所に、百合香の眠る墓標はある。

「…私たち、百合香の分まで生きてしあわせになってみせるから、見守っててね」

 というだりあとは対照的に、

「百合香…ごめんな」

 大介はしおらしくなっている。

「…もう百合香ったら、こんな手間のかかる彼氏置いてって、どうするつもり?」

 だりあの口調に思わず大介は微笑んだ。

「大介ってさ、意外に線が細いのね」

 そっぽを向いた大介は「やっかましいわい」と強がってみせたが、だりあにはお見通しであった。