しかし、これだけ自我の強いだりあが相手であるにも関わらず、ほとんど喧嘩をしないのは、みのりでなくても不思議がった。

「大介が(かわ)すから喧嘩にならない」

 だりあが意見を通そうとすると、大介はすんなり引き下がってしまうのである。

 だりあはそんな大介に甘えてしまうこともあった。

 大介は大介で、だりあを愛らしく感じ始めてもいたが、

「百合香のこともあるし、またいなくなられたら立ち直れんくなる」

 冗談めかしながらも、その怖さだけは逃れることが出来ず、だりあと寝た夜、不意に苛まれて目が冴えてしまう。

 隣のだりあを確認すると、大介は再び眠る。