あのね、とだりあは意を決めたような口ぶりで、

「私ね、こないだ彼氏が出来たんだけど…ずっと大介のことが好きだったの」

 大介の手が止まった。

「彼氏できて良かったやん」

「…良くなんかない」

「なんで?」

「百合香とつきあってたときだって、早く百合香と別れちゃえって思ったぐらい大好きだった」

 大介はだりあの眼差しが痛かった。

「すごく本気だったのに、それでも私は百合香には勝てなかった。──だから今日は振られるために、ここをセッティングしたって訳」

 だりあなりの、意地のようなものかも知れない。

「じゃあ、うちがだりあちゃんを嫌いだって言えば、だりあちゃんはスッキリするん?」

 だりあは激しく首を横に振った。