ランチの予約の日、だりあは例のリムジンで大介を迎えに来た。

「大介のために、おしゃれもしてきたんだ」

 淡いピンクのフリルがついた、少しクラシカルな雰囲気のワンピースを着てだりあはあらわれた。

 だりあが大介と会うときは、年頃の女性であるはずだが、いつもまるで高校生のような可愛らしさを見せる。

「だりあちゃん、可愛らしくて似合ってるで」

 大介は人を()(ざま)には言わない。

 やはり辛苦を嘗めて来ただけに、

 ──悪口は何の得にもならん。

 というところが、どうもあったようである。