じゃあ、とだりあは食い下がった。
「どうして、あのとき百合香と付き合ったの?」
大介は手の泥を桶で洗い流しながら、
「少なくとも、百合香は自分に自信がなかったからかも知れへんな」
「自信…?」
「百合香はだりあちゃんのような美人でもないし、それを本人も分かってた。それでも百合香は、失敗も怖がらずに誠実であろうとした。せやから、うちは百合香といることを選んだ」
それが百合香がいなくなってしまった現今では、もう誰かを好きになれる根拠を、大介は持つことが出来なかったのではなかろうか。
あまりにも付け入る隙すらない大介の言葉に、
「…私って、どこでどう道を間違えちゃったのかなぁ」
完敗であることを認めざるを得なかった。