ここでだりあは、

「だけど大介は歳の離れた百合香と付き合ったりもしてた訳だし、何が起きるか分からないのが男女だし」

 と大介に言い返した。

 すると大介は手を止めることも、向き直すこともせずに、

「…あのな、男って誰でも、据え膳に手ェつける生きモンやって思ってへんか?」

 だりあの顔から血の気が引いた。

「うちは腹弱いから、食あたり起こすん嫌やし簡単には箸つけへんし。それに男にかて選ぶ権利ぐらいはあんねんで」

 冗句めかしながら大介は言った。

 物腰はやわらかいし言い方も厳しくはないが、だりあにすればまったく予想すらしてなかったリプライで、

「…そうね」

 としか、だりあは言葉が出てこなかった。