有楽町でだりあがタクシーを拾うとホテルの名を告げてから、

「待ち合わせだから、ちょっと急いでね」

 だりあは慣れている様子である。

 なるほど自分とは住む世界が違う、と大介はあらためて思い知ったようで、

(前に百合香が似たようなこと言ってたっけ)

 と、はるかな以前百合香が大介を諦めようとしていたとき「私なんかが軽々しくアプローチしちゃいけないんだ」と言っていたことを、ふと思い出していた。

 タクシーはすぐホテルに着いた。

「ワンメーターでもタクシーを使ってあげないと、運転手さんにも生活があるんだよって、パパがよく話しててさ」

 大介は静かにうなずいた。