郷里の苫小牧での百合香の葬儀が済んだ帰途、新千歳からの飛行機で大介は、だりあと悠介と同じ最終便になった。
空いている便でもあったので、客室乗務員に頼んで悠介が席を変えてもらうと、
「饗庭さん…さぞ力を落としているだろうけど、まだ君は若い」
悠介は静かに言った。
「斎藤社長も、大事な社員さんがいなくなって大変やないかなと」
「佐藤くんは総務部でも有能だったからね…悔しいが事故では、どうしようもない」
だりあは窓側の席で月夜と雲の波を見ながら、耳を立てている。
「だりあから聞いたけど、交際してたそうだね」
「…はい」
「佐藤くん、君のことを『饗庭大介は世界に通用する芸術家です』って、話していたらしい」
総務部長から悠介は聞いたらしかった。
「それだけに佐藤くんのことは悔やまれるが、君にはもしかしたら、ふさわしい人がまたあらわれるかも知れないから、無理はしないでくれ」
また記念品を頼む、と悠介は大介と握手を交わした。