事実、だりあは運転手つきのリムジンで広尾から六本木の本社まで通勤し、その服装はフランス製の高級ブランド品である。
ひきかえ大介は鶴見の小さな倉庫を三万円で借りて、みずからリノベーションして土間を事務所と工房にし、管理室は住居にして住んでいる。
服は安いジーンズに古着屋で七百円の作務衣を見繕い、移動の手段も四万円のスーパーカブをカスタマイズして乗り回す。
まるで正反対ではないか。
どうやら大介は、自分の人生を見切って生きているところがあるらしく、
「恋愛にうつつを抜かして生きるのも人生かも知らんが、うちにはうちの算段があるからなぁ」
と、何か違う目標を立てて生きているようであった。