大介の雰囲気を百合香は、

「いつも何かと挌闘(かくとう)してるような」

 と評したこともある。

 とりわけ土を棒で()したあと、型紙を当てながらパーツを切り出し、精緻に六角形を組み上げていく成形の作業を見たときなどは、

「まるで精密機器でも作るみたい」

 と百合香が思わず言ったので、大介が苦笑を浮かべたことさえあった。

 当然ながらそのように造られた大介の六角形は分度器で角度の誤差まで許さない造作になっており、

 ──六角の饗庭。

 という異名があることも百合香は聞いた。

 おそらくそのようにして、だりあに譲ったあの真っ赤な六角カップも出来上がったのかも知れない。

「会心の作品やと、たまに売りたくないときあるんやけど、売らな稼がれへんし、まぁ売らなしゃあない」

 変な執着を持たないように自戒していることが、実は一見すると天衣無縫に見えて、しかし真相は精巧に想定されながら結果になっている…という、大介の見えてこなかったコアを見られたような、百合香はそんな気すらしていた。