百合香は大介といるときは、もう明日が地球の破滅になっても構わないぐらいの幸福感で満たされていて、

「ダーリャには悪いけど、ありふれた言い回しかも知れないけど、私は大介さんがいれば何もいらないんだ」

 と、だりあが見たこともないような穏やかな相貌(かお)つきになって、それだけで百合香が大介にどれだけ愛されているか…ということが如実に知れたのであった。

 他方で大介は、

 ──背中に翼が生えたのではないか。

 というぐらいの膨大な作業量をこなすようになり、

「この算段は計算してへんかったなぁ」

 照れ笑いを浮かべながら、しかし嫌な感情は見受けられず楽しげに、ろくろを回していた。