大介はふんわりと百合香を抱き締めた。

「…個展が片付いたら、言おうって決めとってん」

 それまで、自身の気持ちも見定めたかったらしい。

「ごめんな」

 大介の男らしい手が百合香の頬を包む。

「ね…私なんかで、いいの?」

 ダーリャのほうが美人だよ、と百合香は大介の腕の中で向き直った。

「だって私…」

 潤んだ百合香の眼を真っ直ぐ大介が見つめ返す。

「うちは百合香ちゃん…いや、百合香がいい」

 悩むに悩んで決断したあとは、よほどのことがない限り大介が揺らがないことを、百合香は知っている。

 大介は百合香に優しくキスをする。

 百合香は、大介の首に腕を回して受け入れた。