気づくと後から、大介にハグをされたのである。

「…ずっと考えてたんやけど、百合香ちゃん…うちのことどない思う?」

「イケメンだし、面白いし…私は好きだよ」

 だけど、と百合香は、

「でもほら、こないだ話したときのこともあったし…」

 百合香は諦めるつもりでいたらしい。

「うちな、実は…百合香ちゃんのこと好っきゃねん」

 耳もとでささやいた。

 本当は言ってもらいたくてたまらなかったセリフを、しかし何の気持ちの整理もないまま聞いてしまった百合香は、耳まで紅潮させていた。

「なんで…早く言ってよ」

 すべて諦めかけていた百合香の目には、涙が浮かんでいる。

「ごめん…でも軽々しく言いたくなんかなかったし、百合香ちゃんをしあわせに出来るか、個展が終わるまで確証持てんかったし」

 個展が思ったより盛況だったのが決め手になったらしい。