帰りの車で百合香は、

「大介さんって、少し変わった人だよね」

「まぁ確かに前から、ああした奇異なところはあるけど、何か不思議な人なんだよね」

 だりあは時々毒舌を吐かれるが、ちっとも腹が立たないのである。

「あんなにいつも明るいのは、もしかしたら何か影があるのかなって」

 大介には陽気に振る舞って、しかし奥底では本心を明かさないところがあることを、だりあは何となくながら感じ取っている。

 それでいて、悠介とはハッキリと物を言い合い、

「前に饗庭さんが指摘した通りだった」

 と、ときには金的(きんてき)を射抜いてみせるのである。

「でも人を選ぶようでもないし…」

 何かやっぱり不思議な人だよね、としか言いようがなかった。