翌朝、百合香からLINEが来た。

「これから大介さんの工房行くんだけど、一緒にどう?」

 だりあは文字を打とうとして、手が止まった。

 会えば昨日のことを訊いてしまうかも知れない…というのは、だりあも感づいてない訳ではない。

「…ごめん、今日パパとゴルフなんだ」

 小さな嘘をついた。

「そっかー…じゃ一人で行ってくる」

 百合香から車のスタンプが来た。

 だりあは大介の例の六角形のカップを手にすると、カモミールティーを淹れて口をつけた。

 使ってみると飲みやすいことが分かって、デザインだけではなく、機能性もあることをこの時だりあは知っている。

(…何か理由があるはず)

 だりあは百合香に、

「今から無理?」

 気づいたときにはメッセージを飛ばしていた。