のぞみの目から涙が溢れた。
 強き者のみが残る世界、弱きは食われあるいは消えてゆく。それでもその世界に彼はあやかし園を作った。幼い子らが安心して育つことができるあの場所を。それが失った我が子を思う、彼の心なのだろう。
「もう誰一人としてお前の餌食にはしない。今こそお前は、己の言葉に従うのだ。己の身を守ることができないあやかしは消えれば良いと言った己の…」
「ま、ま、待て!」
「さらばだ、ヌエ」
 その瞬間赤い光が刃となって、逃れようとするヌエの背中に襲いかかる。
 ぎゃあああああ!という耳を塞ぎたくなるほどの凄まじい叫び声と同時にどどーんと稲妻が鳴り、ヌエに落ちる。
 のぞみは太一を腕に抱いて、ビリビリと身体に響く爆音に耳を塞ぎながら、地面にうずくまった。