「俺は、自分の中で恋愛っていう概念が消えたことがないから、分からないよ」

ごめんね、ってそうやって。
「泣きそう」だなんて。すでに涙を流していたくせに。

やけに優しい声色で幾度となくごめんねの言葉を洩らしてばかりの彼に、私の知っていた暖かさを感じて安堵をしたのはもう随分前の話。

そのたった4文字の台詞じゃあ、あの夜の私の気持ちが絆されることはなかったけれど。