このあとの清正の記憶は定かではない。
スコアブックによると、七番バッターを併殺打に仕留め、八番はライトフライ。
三回表はホームランで一点返し、三回裏に二連続でデッドボールを出し、さらにスリーランが飛び出して、ここで清正はマウンドを降りた。
七対二から最後は七対六まで追いついたが、最後はフライアウトで試合終了となった。
「えぇとこなしやった」
かなりのちになっても訊かれて悔やんでいるのは、先頭打者ホームランとなった、スッポ抜けの一球目であるらしかった。
「でもあれを逃さんのだけが、要はプロやメジャーに行けるってことやな…」
因みにこのとき先頭打者ホームランを打ったバッターはのちに、大学から韓国や台湾のプロ野球へ渡り歩いて、逆輸入スラッガーとして話題になるに至る。