アイヌ系への差別は根深い。

 それは雪穂は子供の頃からよく知っていて、例のリボンバレッタだって、アイドル部の活動のときに雪穂は使わない。

「うちのパパも、それで若いときはグレたみたいだし」

 しかし立ち直ってからは一代で建設会社を起こし、そのおかげで今の雪穂があることを、雪穂もよく分かっていたようであった。

 それだけに。

 あまりアイヌの話はしなかったのだが、オーディションの日は例のリボンバレッタをつけていた。

 雪穂は御守のつもりであったらしい。