ところが雪穂は、

「まぁ、女子高あるあるだから」

 と、いとも簡単に片付けてしまう。

 この豪気さには、日頃雪穂と言い合いをしていた優海が、

「あの子には勝てない」

 と、素直に敗北を認めたことがあった。

 のちに優海は、

「私には勝てない人が二人いた。それが橘すみれと有澤雪穂で、しかし二人がいたから自分の才能に早く見切りをつけて、違う道を歩くことが出来た」

 と述懐している。