連休明けからは、リラ祭と呼ばれる学園祭のステージ練習が始まった。

 コントをすることになったのだが、

「私なんかに出来るかなぁ?」

 そうは言っていたが、お通夜のコントで焼香のシーンに差し掛かって、雪穂が足のしびれた役を演じてみると、

「雪穂ちゃん、上手いよね」

 演技が上手いことに、副部長の桜庭ののかが気づいたらしく、

「あれなら歌が下手でも、女優さんでイケそうだわ」

 と、予言めいたことを言った。

 事実、このときのコントの経験は女優となってからコント番組で活かされ、

「有澤ちゃんってさ、他の女優さんと違ってコント上手いんだよね」

 と、のちに大御所のコメディアンから評価を得るに至るのだが、それははるか先の話であった。