週末、ダンスレッスンに参加した雪穂は、自分があまりにも踊れないことにショックを受けた。

「ダンスやってなかったら、そんなもんだって」

 同期で入った岐部優海に言わせると、そんなところらしい。

「…やめようかなぁ」

 雪穂は諦めが早過ぎる嫌いがあったのだが、

「私だって最初はひどかったからなぁ」

 後ろから言ったのは、長内藤子である。

「雪穂ちゃん、悪いけど最初の頃の私より上手いよ」

 藤子は運動音痴であったらしく、

「私なんかダンスの練習中、靴飛ばして行方不明にしちゃってさ」

 雪穂は思わず笑い出した。

「でもダンスってリズム感だから、サックス吹いてる雪穂ちゃんならこなせるんじゃないかなぁ」

 ちなみに藤子は楽器も苦手らしかった。