水で無駄なものが削られるんだね、といったようなやり取りのあと、

「そんな、砥石じゃないんだからさ」

 言ったのはブルーの振袖を着た有澤雪穂であった。

 アイヌの血を引いていた雪穂は、この当時のメンバーの中では一、二を争う人気で、

「よろしくー」

 と雪穂はニコニコしながら二人を座らせた。

「なんか妹ができるみたいで嬉しいなぁ」

 あやめとみな穂を、特になんの理由もなく気に入ったようであった。

 後に雪穂は、

「あやめとみな穂が仮に来なかったら、アイドル部は私たちの代で終わっていたかも知れない」

 と述べているのだが、それはみな穂という芯のあるキャラクターがあらわれて、チャラチャラとそれまで少し浮ついていた感のあったアイドル部が、変わってゆくきっかけになったのかも知れないことを指していた。

 余談ながら、のちにみな穂がデビューした際、真っ先に挨拶に赴いたのは、有澤雪穂のもとであった。