それからは手をつないだまま、とうとう宮島口まで来てしまった。

 桟橋まで歩いて、フェリーで宮島に渡ると外国人が数多(あまた)いて優子は人酔いしそうになったが、翔馬とはぐれるのが怖くて手をつないだまま、土産物屋の角を曲がって奥まった、翔馬の親戚だという家まで届け物を無事に済ませた。

「せっかく来たけぇ、お参りだけでもしとく?」

 優子が初めて意志をあらわした。

 翔馬と優子は拝観料を払って、寝殿造の廻廊を巡ってから本殿で参拝し、札所でお守りを買った。

「な、交換しとかん?」

 さっき優子はピンク、翔馬は青のお守りを買ったのだが、

「互いに持ち合いしとったら、互いに守ってくれそうじゃろ?」

 翔馬の提案で、優子は青のお守りを渡された。

(ピンク良かったのに…)

 内心が口から出かかったが、こんなところで喧嘩なんかして帰れなくなるのは困るので、優子は黙っていた。