のちにあやめがいじめに遭った際、それでも自死を選ばなかったのは、もしかするとみな穂のことがあったかも分からない。 「私なんかは偶然生き残っただけだし」 みな穂の口癖でもある。 「人って死ぬときはあっけなくて、向こう側でなくて隣り合ったりなんだよね」 修羅場をくぐったことがなかったあやめにはこのときよく分からなかったが、この頃からみな穂が必死で何かを探し求めているようには、はっきり理解できた。