今は仕方なく並んで通学したり帰ったりしているが、
(出来るなら別々がえぇ)
けど、いざ一人の帰り道となると寂しくてたまらない。
これが何であるか、優子はよく分からない。
「…どうしたらえぇんじゃろか」
屋根裏部屋へ帰り着くと、ブレザーの制服姿のままぼんやりと考えることも増えた。
そうした週末、
「郷原、頼みがあるんじゃけど?」
電話の声の主は翔馬である。
「今度、ちょっと宮島まで届け物のあるけぇ、ついてきて欲しいんやけど」
「…一人で行かれんの?」
「ったく…郷原もカンが鈍いのぉ」
とりあえず約束だけは取り付けて電話を切った。