卒業の日、手をつないで雪道を歩きながら、

「札幌の学校かぁ…しばらく逢えないね」

 廣健は地元へ残る。

「でも、私絶対に蠣崎を迎えに行くよ」

 どんなに時間がかかってでも──すみれは述べた。

「だから、私その時まで誰とも付き合わない。…蠣崎は、別に構わないけど」

 ツインテールを揺らしながら笑った。

「売れたらどうするんだよ」

「売れればスキャンダル回避できるから、却って安心かもよ」

 すみれは述べた。

 田舎道にちらつく小雪だけが、二人を包み込んでいた。