ざわついた中でも廣健は、

「俺が告白してつきあってるんだから、なんの不満があるんだ」

 と、ことあるごとにすみれをかばった。

 すみれは廣健に申し訳なさを感じながらも、しかし内心では男らしく守ってくれる廣健に、モデルになりたいという夢は打ち明けづらかったらしい。

 が。

 雪のちらつく帰り道で、

「橘、モデルになりたいんだろ?」

「…えっ?」

「なんとなく分かるよ、彼女だもん」

 すみれは涙目になった。

「俺が邪魔なら別れてもいい。俺は橘の味方だから、橘の好きなように生きればいい」

 廣健には覚悟が備わっていたらしい。