当然のことながら、廣健とすみれは陸上やバドミントンなど、男女混合で行なわれる競技では鍔迫り合いを演じることがあって、

「時間切れにつき引き分け!」

 と、勝負がつかなかったことすらあった。

 しかし。

 たまに廣健は、わざとではないがすみれに敗けることがあった。

 すみれにすれば勝負なので別に驚きはないが、

「女子に負けるとは情けない」

 と廣健は言われたりすることもあった。

「ま、勝負はときの運だからね」

 としか言わなかったが、実際にはかなり悔しかったらしいものの、

「いずれ勝てば良い」

 という肚づもりもある。