翔馬は警官の倅だけに正義感は強く、

「郷原の鞄ばゴミ箱に捨てよったん誰じゃ!」

 などと食ってかかっては、取っ組み合いの喧嘩で顔に傷を作ったりもする。

 優子はそれが胸が痛かったのか、

「もうやらんでえぇって…」

「何してや?! お前が言えんことを俺が言うちゃっとるんぞ?!」

 翔馬は優子の肩を掴んだ。

「…俺が、郷原ば守っちゃるけぇ安心せぇ」

 痛いぐらい真っ直ぐな眼差しで言われると、優子は何も言えなくなる。

 小さい頃は同い年というぐらいで意識すらしていなかったのに、いつから気にするようになったのかは優子にも分からなかったらしい。