ライラック女学院には越境入学組のための学生寮もある。

 しかし翔子は両親と引っ越してきたので、新札幌のマンションから電車で通うこととなった。

「電車一本は楽やわー」

 翔子は敢えて関西弁のまま直さない。

「なんか関西弁やと痴漢も寄って来んしえぇねん」

 事実、入学式の帰りに触られたのだが、

「あんた三分触ったから諭吉三枚、三万円もらうで!」

 腕を掴んで声を張り上げ、その場で現金を要求したら、次の日から誰も電車内で翔子の隣に来なくなった。

「北海道の男、チョロいな。あんなん関西で言うたら札束渡されて触られ放題やわ」

 翔子には少し危なっかしい面もある。