運良く合格した翔子は、三月の半ば過ぎに関空から渡道した。

 新千歳空港は、空気がまだ寒い。

「ベンチコート入れといて良かったわぁ」

 バスで札幌が近づいてくると、まだ路肩には雪もある。

「…わぁ、ホンマに来たわ北海道」

 不安と期待の入り交じった夜の国道から、時計台の角を曲がる頃には、疲れてウトウトと半分眠っていた。