そんなとき、進路指導の教師が持ってきたのは薄紫色の封筒である。
「ライラック女学院高等部、ここなら通信制もあるし、何より大阪でも入試をするらしいから」
なるほど大阪で試験を受けて、合格する頃には札幌へ引っ越しているから良いだろう──というのである。
「しかも学費が安い」
そもそもアメリカのキリスト教系の団体が大正時代に作った学校で、ほとんどが寄付金と学費で賄われている。
パンフレットを見たら、ダークグレーのセーラー服で可愛い。
「…頑張ってみる」
多少は、前向きにとらえられたようである。
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