二月の札幌での入試を終えて帰って来てすぐのバレンタインの日、優子は生まれて初めて手作りチョコレートを翔馬に渡した。 「少しいびつじゃけど…」 「優子の気持ちにいびつも何もあるか」 そういった翔馬の武骨な優しさが、優子は男らしく感じられたらしい。 翔馬は初めて、優子の好きなものを認めてくれた。 「…恋って、こげな感じなんじゃね」 優子は屋根裏部屋で小さくつぶやいた。