その頃から優子と翔馬は、手をつないで二人で歩くようになった。 しかし。 ほどなく通学の朝、優子は大きな封筒を抱えて坂をおりてきた。 「うち、島を出て進学しよう思う」 薄い紫色の封筒にはライラック女学院高等部、とある。 「ここの学校、アイドル部いう部活があって、うち…そこ行こうって思うんよ」 「どこにあるん?」 「札幌やから、北海道じゃね」 翔馬は驚いたが、 「…優子が行きたいならえぇと思う。だって、優子の夢なんじゃろ?」 翔馬は横を向いたままである。