「また(わけ)わからぬ()(ごと)を」

空音が聴こえるが、気のせいだ。

俺は耳無し芳一(ほういち)よろしく、念仏を(とな)える。

「これは夢だ。これは夢だ。
 二次オタよろしく、妄想だ!」

世迷(よまよい)ごとを。
自見(じけん)覚悟(かくご)(勝手な自得(じとく))をするでない」

幼女は(あき)れたようにため息をついた。

「そこ違うからね」

「ため息つくの俺のほうだから」

幼女はびっくりしたように目を丸くしたのち、
納得(なっとく)したように声を荒げた。

「あなや! 伝えに聞くに、これが世に言う、
 ノリツッコミと言うやつか!」

そう言って喜ぶ幼女。

ずれてる。

次元ごとずれてる。

俺はこの希少変異種(きしょうへんいしゅ)を前に、
別次元の何かだと(かい)した。

理解はしたが、納得(なっとく)は出来ない。

「でっ、お前は何者だ!?」

俺が少し怒気(どき)をあらげると、
幼女は恥じらうように頬を染めた。

()にまどうでない。
 そんなに発情されると、
 こそばゆいではないか」

間違っている。

色々と全部間違っている。

「ぺチャパイ」

俺はげんなりして嫌味(いやみ)をはきだした。

気にしたのか幼女は、
まじまじと自分のまな板《胸》を見つめ、
続いて俺の顔を見つめて言った。

「あなや! よほどにくすぐるな。
 面映(おもは)ゆいではないか」

何故(なぜ)か顔を赤くして、そう(ささや)く幼女。

(ほめ)めてねぇー!!」

思わず突っ込んでいた。