ゴスロリ風制服で広島弁をしゃべる、童顔の優子のキャラは、紅白のメドレーでもかなり目立った。
このときは『キミノコエ』『ココロの鼓動』『スパーク!』の三曲メドレーで、メインボーカルのるなのシンプルな衣装がクールな雰囲気であったのに対し、ダンスパートでフリフリひらひらな優子がキレッキレに踊る姿は嫌でも目立つ。
「ダンスがバッキバキなあの派手な子、誰?」
正月三が日の間、検索ワードのランキングは箱根駅伝の話題ばかりが並ぶ中、郷原優子という名前だけが異彩を放つという異様な光景であった。
「一応まぁ広島代表じゃったけぇ、踊るには踊れるんよ」
優子は屈託なく笑う。
「いまさら広島弁直せ言われても、こっちのほうが言いたいように言えよるし」
まるで飾ることがない。
「飾るんは、うちは服だけでえぇ」
このギャップがファンにはたまらなかったらしく、
「史上最強のゴスロリ少女、あらわる」
という見出しで、週刊誌の巻頭で紹介されてからは、一気に人気に火がついた恰好となった。
愛称もいつしか「郷原ちゃん」と呼ばれるようになり、どういうことかサラリーマンのファンがものすごく増えた。
不可思議というより他ない。