衣装合わせが始まると、それぞれ基本的なベーシック衣装に工夫を凝らしてゆく。
今回は白襟のブラウスに濃い紫の襟無しのジャケット、スカートはプリーツの華やかな白スカートにパニエを仕込んで、きれいなシルエットが出るようになっている。
「制服みたいな衣装も、たまにはいいよね」
みんな上機嫌で、持ち寄ったワッペンやら刺繍のエンブレムを縫い付けて仕上げてゆく。
「他のグループはプロが着けるけど、あんまり選べないみたい」
などと声がする。
るなは仕上がったらしく、姿見の前へ立った。
るなの首元には、例の翡翠のペンダントがきらめいている。
「るな、それって…?」
香織が訊いた。
「例の紙袋の中身」
香織は何も言わずにうなずいた。
るなは自身がギャルであることを活かすように、敢えてシンプルな服やアクセサリーを使いこなしていて、レース使いの優子や、派手柄を使いこなす翔子とは真逆である。
今回も公式のエンブレムをつけただけで、あとは翡翠のペンダントのみである。
「まるでアニメの魔法使いみたい」
だりあに言われても、るなは微笑んだまま、
「ある意味当たってるかも。だって形見だから」
とだけ言うと、だりあは黙った。
他方で優子はるなとは真逆で、ここぞとばかりに持ち込んだロールの白レースを使い、一人だけゴスロリ風衣装に仕上げた。
「レース余ったけぇ、ヘッドドレスにした」
確かに一人だけ、白レースでヘッドドレスをつけてある。