フォーメーションの確認が済むと、るなは普段のるなを取り戻し始めた。

「ここのパート、ユニゾンだから並んだほうがいいのかな? だって二番はハモりだから私が後でも大丈夫だけど」

 他では気づかない箇所までチェックする。

「あれだけ気配りできるんじゃけ、例の彼さんも惚れたんじゃろね」

 優子は言った。

 うちにはないなぁ、と優子は感心しきりで、

「うちも映画みたいな恋、できたらえぇんじゃけど」

「優ちゃんは広島弁だから、尾道三部作みたいな感じになりそうよね」

 そろそろ行こうか…と香織が促すと、それぞれ練習の持ち場へ戻った。