カーテンを閉め切った部屋の隅で、るなはアコースティックギターを抱えて座っていた。
「るな、大丈夫?」
「…ひまり、ありがとう」
るなはあまり食事もとっていなかったようで、少しやつれていたようにも見えた。
「あのね、今日は先生からの伝言」
清正から言づかっているらしい。
明日、大事な話があるから登校しろ──との由である。
「何の話かは分からないけど、先生が直接話したいってことは、きっと重要なことだと思う」
ひまりは、
「私はボイトレあるから帰るけど、みんな心配してるよ」
と伝え、この日は帰ろうとした。
「待って」
るなが呼び止めた。
「どうしたの?」
「最初、嘘か詐欺かと思ったんだけど」
るなが見せてくれたのは、ボロボロになった鞄の写真で、よく見るとアイドル部のグッズである、るなの缶バッジがついている。
「これさ、駿平が新潟に進学するときにプレゼントした鞄なんだ」
この鞄の状況で、全てを察したらしい。
ひまりは、かける言葉を探しあぐね、途方に暮れたような顔をした。