追いかけてきたさくらが追いつくと、泣き崩れている香織がいる。

「かおちゃん…」

 さくらは勘がいいだけに、薄々何か気付いていたらしいが、

「…そんなことは、嘘であって欲しい」

 みずからの予感を否定しながら香織に近づいた。

「…飛び出した子供を助けるためにって、あんまりにもベタな展開すぎるんですけど」

 無感情な香織の言葉に、さくらは固まった。

 天を仰いだ。

 校舎の奥の(あおぐろ)い稜線の先、流れ星が一閃した。

「こんなときに勘なんか当たるなよ…」

 さくらは絶対に自分だけは泣くまいと、歯を食いしばった。

 あとからだりあやひまり、薫、ひかるなどメンバーが出てきた。

「…ごめん、何も言われへんわ」

 翔子はそっぽを向いた。

 優子が気づいたときには、翔子の肩はワナワナ震えていた。