他方で、みな穂やあやめ、二年生のるなや一年生の嘉勢(かせ)ひかるのように、実家から歩いて通える部員もいて、ちょっとした異文化コミュニティのような様相も出始めている。

 るなにいたっては学校の裏口から歩いてすぐ、グラウンドのフェンス越しに家が見えるというかなりの間近さで、

「だからアイドル部が走り込んでるのも見てた」

 それだけ身近で、しかし裏口から通学していたので「裏口入学」とネタにされたりもした。

 それぞれ各地から集まっているのでローカルな話題も数々あがり、帰省から戻ると部室に、優子の紅葉饅頭、みな穂に送られてくる萩の月、さらに白い恋人が並ぶ…という物産展並みの光景も見受けられた。

 部長のみな穂は、

「方言は出来るだけ直さない」

 という新しいルールを付け加えた。

「これはののか先輩が」

 お天気キャスターとして仕事中、緊張するとたまに「なんかはんかくさいっしょや」などと、三世代同居の名残りらしい訛りが出るのだが、

「それで視聴者からカワイイって言われたりするから、下手に直さないほうがいいかも」

 といったエピソードに由来する。