いわば清正の思考の骨組みをこのときに英美里が理解したことで、アイドル部は新しい展開を迎えてゆくこととなった。
「うちのホテルのブライダルのモデルに起用させてもらえませんか?」
と、かつて清正が茉莉江と挙式をしたホテルから、オファーがあったのである。
「新メンバーは十人ですからね…」
長谷川マネージャーは英美里に訊いた。
「私たちは谷間の世代だから、みな穂先輩とイリス先輩に出てもらうのはどうですか?」
代替わりはしたが、三月の卒業まで半年はある。
英美里はそこに目をつけた。
「お前なかなか考えるじゃん」
コーチとして帯同していた美波の後押しで、これが企画となってホテル側の会議を通った。