新部長の英美里は、特別何かが図抜けていた訳ではなかった。

 ダンスもボーカルも至って普通で、

「優ちゃんみたいにキャラはっきりしてないし…」

 たまにポロッと函館弁が出る程度である。

 しかし。

 英美里はほとんど人をけなさない。

「自分は普通の中の普通だから」

 ひまりやるなのようにボーカルが上手い訳でも、薫やさくらのようにダンスが上手い訳でもない。

 ひかるのように機械に強くもない。

 だりあほど面白くもない。

 翔子や優子のように方言を武器に出来てもいない。